はじめての採卵

人生初の点滴と静脈麻酔、採卵当日の流れ、そして13個の卵子から2個の胚盤胞を凍結するまでの記録です。

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初めて採卵を受けた日の話

皿に並んだ生牡蠣

ついに、はじめての採卵当日です。

いよいよ本番。朝8時少し前、夫と一緒にNクリニックへ向かいました。

夫、提出して帰る

採卵では、男性も精子を提出しなければなりません。

Nクリニックでは、病院の個室で採精するか、自宅で採精して持参するかを選べました。ただし、自宅で採る場合は1時間以内の提出が厳守です。

わが家はクリニックから近く、夫も「家のほうがいい」とのこと。精神的な問題でしょうか。そこは深く追及せず、自宅採取を選びました。

病院に着くと、受付で夫の分を提出。夫のこの日の大仕事は、これにて終了です。

そして夫は帰宅。

一方の私は、ここからが本番です。この時点で、夫婦の予定表にだいぶ温度差があります。

小さな個室で手術の準備

私は看護師さんと一緒に、準備をするための個室へ移動しました。ベッドとテーブルが置かれた小さな部屋で、まず手術着に着替えます。

採卵時に麻酔を使うかどうかは病院によって異なりますが、Nクリニックでは静脈麻酔を使って採卵を行います。

人生初の採卵なので、静脈麻酔で眠っている間に進めてもらえるのは本当にありがたいです。

この日は、私にとって人生初の点滴、そして人生初の麻酔です。

初めてのことなので、ワクワクとドキドキ。未知のイベントを前に、なぜかテンションが上がっていました。

ところが点滴を入れてもらうと、普通に痛い。

採血と似たようなものを想像していたのですが、似ているようで少し違いました。上がっていたテンションは、ここで早くも急降下です。

肩をポンポンされながら、突然の暗転

準備を終えると、いよいよ手術室へ向かいます。

手術台に上がり、脈拍計と血圧計を装着。足にはビニールカバーをつけてもらいます。先生が手術室に到着し、採卵が始まりました。

点滴から麻酔が投与され、看護師さんが寝かしつけるように肩をポンポンしてくれます。

ポン、ポン……。

そして、ブラックアウト。

「眠くなってきたかも」と考える時間もありませんでした。私の記憶は、看護師さんの肩ポンで、きれいに一度途切れています。

目を開けたら、採卵は終わっていた

次に看護師さんから名前を呼ばれて目を覚ましたときには、採卵は無事に終了していました。

感覚としては、本当にあっという間です。

私はもともと熟睡が得意ではなく、夜中に何度か目を覚ましてしまうタイプです。ところが麻酔から目覚めたときは、ものすごくよく眠ったあとのような、すっきりと気持ちのよい目覚めでした。

もちろん、麻酔から覚めたばかりなので体はまだフラフラしています。手術室から個室までは車椅子で戻りました。

部屋には、夫が戻ってきていました。

夫
「おつかれー」

待っていた夫から、いつもどおりの調子で声をかけられます。

のんきなもんだ。

こちらは人生初の点滴と麻酔を経て、ついさっきまで手術台の上にいたのですが、夫の空気だけは日常そのものでした。

採れた卵子は13個

ベッドで少し横になって休んでいると、培養士さんが採卵結果を説明しに来てくれました。

今回、採卵できた卵子は13個。

そのうち2個は未熟卵で使えなかったため、受精へ進めるのは11個とのことでした。

13個。

思っていた以上にたくさん採れて、まずはびっくりしました。

ただし、たくさん採れたことで卵巣が腫れてしまい、この周期での移植はできませんでした。

採卵から数日後に胚を移植する方法を「新鮮胚移植」、一度凍結し、排卵のタイミングに合わせて移植する方法を「凍結胚移植」といいます。

今回は凍結胚移植へ進むことになりました。すぐに移植できないのは残念でした。

13個採れても、凍結できたのは2個

採卵した卵子に精子をふりかけ、受精を待ちます。

ここから先も、数が多ければそのまま順調に進む、という単純な話ではありませんでした。

結果は次のとおりです。

  • 採卵できた卵子:13個
  • 受精へ進めた卵子:11個
  • 受精した卵子:10個
  • 正常受精:7個
  • 異常受精:3個
  • 胚盤胞まで育ち、凍結できた受精卵:2個

正常受精した7個のうち、5個は途中で成長が止まったり、育っても質がよくないと判断されたりして、凍結まで進めませんでした。

最初に「13個」と聞いたときは、ずいぶんたくさんチャンスがあるように感じました。しかし、実際に体外受精へ使える状態で残ったのは、わずか2個です。

採卵できたら終わりではなく、受精し、正常に成長し、胚盤胞まで育つという、いくつもの段階を通過しなければならないのだと実感しました。

2回分のチャンスを持って、次の移植へ

残った2個の受精卵は、胚盤胞まで育ててもらい、無事に凍結できました。

これで、1回目の「採卵から凍結まで」は終了です。

体外受精では、この採卵から凍結までの工程が大変です。卵子が十分に育たず採卵できないこともあれば、採卵できても受精や成長がうまく進まず、凍結できない場合もあります。

だからこそ、2個だけでも無事に凍結できたことにホッとしました。

私には、2回分のチャンスがあります。

次の移植へ向けて気持ちを切り替えていこう。そう思っています。

そして、いまの私は、

「体外受精をすれば、すぐに妊娠できる」

と考えています。

まずは、できた2回分のチャンスを大切にします。